精子力とは何か。
男性が知るべき、
新しい健康指標。

Definition

精子力の定義

精子力とは
精子の量・濃度・数・運動・生存・形など、
主要7項目DNA(DFI)から評価する、
男性の総合的な生殖健康力

WHO 2021 Guidelines準拠

精子力は単なる「妊娠させる力」ではありません。精子の質は生活習慣・ストレス・栄養状態・年齢など、身体全体の健康状態を映し出す鏡です。


精子力を知ることは、自分の健康と向き合う第一歩。WHO基準に基づく精液検査で客観的な数値を把握し、生活改善のヒントを得ることができます。


日本精子協会はこの「精子力」という概念を広め、男性が自分事として生殖健康に向き合える社会づくりを推進しています。

Current Reality

日本の精子力の現状

データが示す、見過ごせない現実。

Male Factor
0 %
不妊の原因に
男性側の要因が関係
WHO調査
Infertile Couples
1 / 6
不妊に悩む
カップルの割合
Births in Japan
< 70 万人
2019
86万
2021
81万
2022
77万
2023
<70万
2023年の日本の出生数
初めて70万人を下回る
4 Elements

精子力を構成する主要項目

WHO(世界保健機関)の基準に準拠した主要7項目とDFIで、精子の質を総合的に評価します。

01 — Volume
精液量
1回の射精で出る精液の量。WHO基準 1.4mL以上。
02 — Concentration
精子濃度
1mLあたりの精子の数。WHO基準 1,600万/mL以上。
03 — Total Count
総精子数
射精全体の精子総数(濃度×量)。WHO基準 3,900万以上。
04 — Total Motility
総運動率
動いている精子(前進+旋回)の割合。WHO基準 42%以上。
05 — Progressive
前進運動率
まっすぐ前へ進む精子の割合。WHO基準 30%以上。
06 — Vitality
精子生存率
生きている精子の割合。WHO基準 54%以上。
07 — Morphology
正常形態率
形が整った精子の割合。WHO基準 4%以上。
+ Advanced
DNA断片化指数
精子DNAの傷つき度。別途の精密検査(15%未満が良好)。
In Detail

各項目を、くわしく

気になる項目のタブをタップすると、アニメーションと解説が切り替わります。

01VOLUME

精液量せいえきりょう

1回の射精で出る精液の「量」。精子を運ぶ"液体"の多さです。

たとえると

およそティースプーン1杯弱。少なすぎると、精子を届ける"運び手"が足りなくなることがあります。

下限基準値1.4 mL 以上
02CONCENTRATION

精子濃度せいしのうど

精液1 mL の中にいる精子の数="混み具合"です。

たとえると

同じ大きさの部屋に何人いるか。混んでいるほど、卵子に出会えるチャンスが増えます。

下限基準値1,600万 / mL 以上
03TOTAL COUNT

総精子数そうせいしすう

1回の射精に含まれる精子の「全部の数」

たとえると

量(液体の多さ)× 濃さ(混み具合)で決まる"総人数"。どちらが欠けても数は伸びません。

下限基準値3,900万 以上 / 1回
04TOTAL MOTILITY

総運動率そううんどうりつ

動いている精子の割合。前に進む子も、その場で動く子も含みます。

たとえると

精子の"元気さ"。止まったままの子は、卵子のところまで進めません。

下限基準値42% 以上
05PROGRESSIVE

前進運動率ぜんしんうんどうりつ

まっすぐ前に進める精子の割合。総運動率の"中身の質"です。

たとえると

ただ動くだけでなく"ゴール(卵子)へ向かって進む"こと。その場で回るだけでは前に進めません。

下限基準値30% 以上
06VITALITY

精子生存率せいしせいぞんりつ

生きている精子の割合です。動きが少なくても、生きた精子が多ければ治療(顕微授精など)で妊娠を目指せることがあります。

たとえると

検査では色素で染めると死んだ精子だけが赤く染まります。総運動率が低いとき、「動けないだけ」か「死んでいる」かを見分ける大切な項目です。

下限基準値54% 以上
07MORPHOLOGY

正常形態率せいじょうけいたいりつ

頭・首・しっぽが整った形をした精子の割合です(クルーガー基準)。

たとえると

きれいな形ほどゴールにたどり着きやすい。基準は意外と低く4%で、多くは多少いびつでも問題ありません。

下限基準値4% 以上
DNA FRAGMENTATION

DNA断片化指数DFI・別途の精密検査

精子が持つ"設計図(DNA)"の傷つき具合主要7項目とは別の精密検査です。

たとえると

設計図のコピーミス。見た目や動きが良くても傷が多いと、受精しても胚がうまく育たず、流産につながることがあります。

目安15% 未満が良好
Factors

精子力に影響する要因

精子力は日々の習慣や体の状態で変化します。それぞれの要因が「どこに・どう作用するか」を、アニメーションと作用機序でわかりやすく示します。タグは主に影響を受ける指標です。

良い影響できることを増やす
運動・体重管理
精子濃度と前進運動率が高まり、正常形態も改善しやすくなります。
しくみ:有酸素運動と適正体重はインスリン抵抗性と全身の酸化ストレスを下げ、精巣のテストステロン産生を最適化します。週3〜5回が目安(過度な運動は逆効果)。
運動
十分な睡眠
尾の動きとリズムが整い、精子の質が安定します。
しくみ:テストステロンやLHは睡眠中に多く分泌されます。7〜8時間の規則的な睡眠で分泌リズムと抗酸化防御が保たれます。
運動DNA
亜鉛
頭部と尾の形が整い、数と運動率を底上げします。
しくみ:亜鉛は精子形成やDNA凝縮に関わる多くの酵素の補因子です。精液中に高濃度で存在し、欠乏は濃度・運動率の低下と関連します。
食べ物:牡蠣・赤身肉・レバー・卵・ナッツ・大豆製品
DNA
葉酸
DNA合成を支え、精子の遺伝情報を安定させます。
しくみ:葉酸は核酸合成とDNAメチル化に必須です。亜鉛と協働して形成期のDNAエラーを抑え、正常な精子産生を助けます。
食べ物:ほうれん草・ブロッコリーなどの緑黄色野菜・レバー・納豆・枝豆・柑橘類
DNA
ビタミンC・E
保護膜のように働き、酸化ダメージ(DFI上昇)を防ぎます。
しくみ:精子の細胞膜とDNAは活性酸素(ROS)に弱いです。抗酸化ビタミンC・EがROSを中和し、脂質の過酸化とDNA断片化を軽減します。
食べ物:【C】柑橘類・キウイ・パプリカ・ブロッコリー/【E】ナッツ・アボカド・植物油・うなぎ
運動DNA
ビタミンD
全体の活力が上がり、運動率と関連します。
しくみ:ビタミンD受容体は精巣や精子に発現しています。カルシウム動態を介して運動能に関与し、血中濃度と精子指標の相関が報告されています。
日光・食べ物:日光浴(皮膚で生成)+鮭・さんま・しらす・きのこ類・卵黄
運動
定期的な検査
現在値を客観的に把握し、改善の手応えを見える化します。
しくみ:精子は約74日かけて作られるため、数か月ごとの検査で生活改善の効果を確認でき、行動の継続につながります。
運動DNA
適切な射精頻度
古い精子が入れ替わり、泳ぎが軽くなります。
しくみ:2〜3日ごとの射精で精巣上体での停滞を防ぎ、酸化ストレスによるDNA断片化の蓄積を抑えます。長すぎる禁欲は逆効果です。
運動DNA
悪い影響できるだけ避ける
喫煙
酸化が増えて尾の力が弱り、数・運動・形すべてが低下します。
しくみ:タバコ煙の有害物質と重金属がROSを急増させ、DNA断片化を促進します。精子濃度・運動率・正常形態率の低下と関連します。
運動DNA
過度の飲酒
数が減り、動きが鈍くなります。
しくみ:過度のアルコールは精巣のテストステロン合成を抑制し、精子形成を妨げます。適量まで減らすと回復しうる可逆的な影響です。
運動
高温環境
熱ゆらぎで精子の数と速度が低下します(多くは可逆的)。
しくみ:精子形成には陰嚢温(体温より2〜3℃低い)が必要です。サウナ・長風呂・膝上でのPC使用などの熱が、形成に関わる酵素を一時的に阻害します。
運動
慢性ストレス
精子の動きが乱れ、全体の質が下がります。
しくみ:慢性的なストレスはコルチゾールを上げ、GnRH〜テストステロン軸を抑制します。酸化ストレスも増えて精子形成に悪影響を及ぼします。
運動DNA
きついパンツ・長時間の着座
熱がこもり、控えめに数・運動が低下します。
しくみ:密着した下着や長時間の着座は陰嚢温を上げ、精子形成をやや妨げます。ゆったりした衣類やこまめな立ち上がりが無難です。
運動
加齢
精子のDNAの安定が弱まり、動きも徐々に遅くなります。
しくみ:加齢で酸化ダメージが蓄積し、DNA修復力が低下してDFIが上昇します。運動率や正常形態も緩やかに減少していきます。
運動DNA
長すぎる禁欲
精子の数は増えても、動きが重くなります。
しくみ:長期間ためると古い精子が精巣上体に滞留し、酸化ストレスでDNA断片化が進みます。運動率が下がることがあります。
運動DNA
妊活用でない潤滑剤
精子が進みにくくなります。
しくみ:一般的な潤滑剤や唾液は浸透圧やpHが精子に不利で、運動を妨げることが示されています。妊活用(精子にやさしい)製品を選びましょう。
運動
医療・環境要因気になれば医療機関へ
精索静脈瘤
熱と酸化で数・運動・形が全体に低下します(治療で改善しうる)。
しくみ:精巣の静脈弁の不全で血液が逆流・うっ滞し、陰嚢温の上昇と酸化ストレスを招きます。男性不妊で最も多い「治療可能な」原因です。
運動
発熱・体調不良
一時的に鈍りますが、回復の余地があります。
しくみ:高熱は数週間、精子形成を乱すことがあります。精子は約74日周期で作られるため、多くは2〜3か月で戻ります。
運動
ステロイド/外因性テストステロン
精子が大きく減り、無精子になることもあります。
しくみ:外部から入るテストステロンが下垂体のFSH・LHを抑制し、精巣内での精子形成を止めます。中止で回復しうるものの時間を要します。
環境化学物質・農薬
精子形成が不安定になります。
しくみ:フタル酸類や一部の農薬などの内分泌かく乱物質がホルモン作用を妨げ、精子形成に影響すると報告されています。
感染・炎症
炎症で精子が泳ぎにくくなります。
しくみ:前立腺炎や精巣上体炎などの炎症はROSと白血球を増やし、精子の運動と通過を妨げます。治療で改善が期待できます。
運動
糖尿病・血糖不良
糖化・酸化で精子の進行方向が乱れます。
しくみ:高血糖はタンパク質の糖化と酸化ストレスを増やし、精子DNAを傷つけます。勃起・射精の機能にも影響します。
運動DNA
睡眠時無呼吸
低酸素で精子の活力が鈍ります。
しくみ:睡眠中の間欠的な低酸素がテストステロンを下げ、酸化ストレスを高めて精子の質に影響します。
運動DNA
大麻・カンナビス
精子の推進力が落ち、進行方向が不規則になります。
しくみ:カンナビノイドが精子表面の受容体に作用し、正常な高速直進運動を乱すと報告されています。精子濃度の低下とも関連します。
運動

※ 本セクションは要因と精子の関係をわかりやすく示す教育目的の内容です。実際の状態は精液検査・医師の診断でご確認ください。精索静脈瘤など医療・環境要因は、生活改善ではなく治療で対応できる場合があるため、気になる場合は医療機関にご相談ください。

WHO Standards

WHO基準値と精子力スコア

WHO 2021年版ガイドラインに基づく正常参考値。シードカード取得には認定対象の4項目すべてを満たす必要があります。

検査項目 シードカード認定基準値 シードカード認定
精液量 1.4ml以上 認定対象
総精子数 3,900万個以上 認定対象
精子濃度 1,600万個/ml以上 認定対象
正常形態率 4%以上(Kruger基準) 認定対象
総運動率 42%以上 参考値
前進運動率 30%以上 参考値
精子生存率 54%以上 参考値
DNA断片化指数(DFI) 15%未満(別途の精密検査) 参考値

※ WHO Laboratory Manual for Examination and Processing of Human Semen, 6th Edition (2021) に基づく

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